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服部文祥氏のように、食料持たずにサバイバル登山は無理ですが。。地図に道の無い山を歩いた時の記録です。
時期は去年の10月。ささやかなサバイバル登山の記録。 『地図に無い道』 地図に無い道を歩きたくなった。 道というのは、わざわざ作る道と、自然に出来る道がある。 獣道というのは、自然に出来た道で、人間も獣であると考えれば、また、人の踏み跡も獣道である。 仕事道というのもある。 木を切り出す林道、猟や釣りや山菜採りで出来る道。 人が歩いたところに道は作られる。 幼稚園の頃、初めてテント泊して登った本格的な登山は、最近知ったのだが、バリエーションルート(一般の登山者が歩く道ではない上級向きのルート)だった。 その後も、魚釣りで、道のあるところ無いところを良く歩いた。 道があったとしても、そこを歩かないと経験しないと、自分の中に道は出来ない。 久しぶりに地図に無い道を歩きたくなった。 たぶん、心の中の何かがそれを欲しているのだろう。 今回、奥多摩最後の秘境と呼ばれる『タワ尾根』を歩いた。 日原鍾乳洞の先、駐車場前の籠岩の脇から取り付く 取り付きは、思いのほか立派だった。 ただし、標識は表示されていない。 階段は立派であったが、案の定、道はガレガレだった。 おまけに急斜面なので、ちょっと悪い。 一般道にならない訳が分ったような気がした。 落石もちと怖い。 急斜面を注意しつつ登っていくと、やがて沢沿いにやってきた。 この辺で、踏み跡が不明瞭になっていく。 ほんとにこっちで良いのか? 地図と磁石で確認する。 よく分らないが(笑)とにかく、歩けるので、そのまま行くことにする。 やがて赤いテープが見えて、ホッとする。 やがて二股へ到着。 ネットで発見した地図では、巨樹コースという看板があるはずだが、無い。 現在地はどこだ?? 判らないが、とにかくどちらかに行かなくてはならない。 どちらも、思いの他ちゃんとした道が付いているので、この際どちらでも良いと思い、左に行く。 そこからどんどん高度を上げていく。 気持ちの良い樹林帯のきつい登りである。 道はきっちり付いている。 ただ、途中の土の急斜面などは、台風が来たら、あっという間に道じゃなくなってしまうのだろな。 30分くらい登ったら、尾根に出た。 四角い三角点というのかな?がある。 どうやら、ここが一石山の山頂らしい。 その証拠に、一つ石があり、そこで休憩。 行動食である『くるみ羊羹』を食べ、紅茶を飲む。 ここから見える尾根は快適そうである。 気分はルンルン。 さて行動する。 まずは、みずならの巨樹を目指す。 本当に明るい尾根で、傾斜も緩く、どこでも歩ける感じ。 こりゃいいや。 誰も居ないし、何の音もしない。 聞こえるのは、枝から落ちるどんぐりの音と、ときおり聞こえる鳥の声くらい。 自然の中に、たった一人没入するって良いなあ。 何か生命力みたいなものがわき上がってくる。 細胞が喜んでいる、そんな感じ。 などと、感じ入りつつ、おっと、栗が落ちている。がしかし、小さい。 こんなに小さいと拾う気がしないなあ。 でも、古代の人達は、がんばって拾ったのだろうなあ、そして、出来るだけ大きくて美味しい栗を選んで、それを植えていったに違いない。 縄文時代の主食は、栗とどんぐりだそうだ。 縄文時代の人が生活していたのは、きっと、こんな所なのかもしれない。 などなど考えていると、みずならの巨木に到着した。 写真と同じだ。やはりでかい。 登ってみようかと思ったりしたが、木に負担をかけるといけないので、木の手前に腰掛けて、おにぎりを食べる。 どんぐりが、ポツ ポツ と落ちている。 人形山までは快適なハイキングだった。 岩も出てくる。 きのこが生えている。 金袋山は見逃してしまった。 その辺を過ぎると、植生が変わってくる。 下草が生えてくるのだ。なんだか普通の植生。 そして枯れたスズタケが姿を見せる。 なるほど、これが噂のヤブヤブだった頃のタワ尾根の名残か。 (現在は、スズタケが枯れて、快適に歩けるようになったのだ。) そして、突然、工事現場の音が聞こえてくる。 奥多摩最後の秘境に聞こえる工事現場の音。これが現実だ。 隣の天祖山で石灰岩の切り出しを行っているのだ。 やがて聞こえる警報音と爆破音。 奥多摩の現実を知る。(秘境だったはずなのに。。。) さらにすずたけの中の道を行くと、展望が開ける。 ここで食事。 おにぎりとみそ汁を食べる。 うーん、美味い。 動いて腹へっていたら、こういうのが一番美味い。 グルメだの何だの言ってるけれど、こういうのが一番美味いので、グルメな人は是非山登っておにぎり食べてみてください(笑) 長沢背稜に連なる山々が見える。 酉谷山、三つドッケ、鷹の巣山 そして、足下にはなだらかな尾根が続いているのが見える。 あれが4間小屋尾根か。 歩きやすそうな道だな。 したら、タワ尾根を引き返すより、4間小屋尾根を通って三つ又に出よう。 ウトウの頭へは、かなり急な登りを行く。 人間の踏み跡なのか?鹿の踏み跡なのか?よく分らない踏み跡が無数に付いていた。 ほどなくしてウトウの頭に着いた。 展望はあまり無い。 時間は午後1時。 さて、4間小屋尾根は、どこから下ればいいのか? ん、踏み跡が無いな あ、あったあった。 踏み跡は、ごく小さな踏み跡が斜め右に、もう少し大きなものが真っ直ぐ前方に続いている。 これが、長沢背稜から酉谷山に続くタワ尾根の本筋だろう。 とりあえず、この踏み跡を辿って4間小屋尾根へ降りる踏み跡を探そう。 はたして数十メートル下ったところに右に行く踏み跡がある。 方向から考えて間違いなくこれだろう。 その踏み跡を辿る。 踏み跡といっても数人歩いてます☆みたいな踏み跡です。 全く道ではありません。 どんどん下る、するとスズメバチが飛んでくる、うわ、あわてて降りる、開けた場所に出る。 ん、ここはどっちだ? とりあえず、左を下る。 道は無い。 では、右か? 右も駄目だ。 この場所の先に踏み跡は無い。 すると、スズメバチに驚いているうちに踏み跡を外したということだな。 では、その場所まで戻ろう。 戻っても踏み跡らしきものは無い。 うーん、どうする?? 客観的に外から見ると実に下りやすそうに見え、間違えることの無さそうな尾根。 しかし、実際に森の中に居ると視界が無く、自分の位置が確定出来ないジレンマにおそわれる。 これで、訳の分らない所に下りたら、ビバークになっちゃうな。 食料やツェルトなどはもちろん持参している。 何が起きても良い状態で無ければ、一人で道の無い山なんかには登れない。 しかし、一番大切な水が少ない。 今回はあきらめて、元来た道を戻ろう。 撤退。 もはや、元来た踏み跡も不明になっている。 ただの木が生えた急斜面。 しかし、山は登れば必ず頂上に着くのである。 迷うことは無い。 ただひたすら一番高い所を目指すのだ。 『道に迷ったら、絶対に絶対に下に降りてはいけない。 上に登るのだ。 そうすれば、かならず一番上に出る』 すずたけをかきわけて山を登ると、やがてかすかな踏み跡が出てくる。 そして頂上。 そうか、この踏み跡が、斜め右に付いていたかすかな踏み跡だったのだな。 もう、13時30分をまわっている。 急ごう。 スピードを出して尾根を下る。 尾根はどこでも下れて、重力の法則に従って足を運べば、かなり速く下れる。 調子に乗って下る。 すると、いつの間にか見慣れない場所に来ていることに気付く。 あれ?こんな道だったけ?? 本能的におかしいことに気付く。 何か、この先の道が見たことの無い踏み跡なのだ。 とりあえず、磁石で方角をチェック。 。。。ずれている。 これは支尾根に入ってしまったようだ。 こんな所を下ったら、先は崖だった。危ない危ない。。 どこで間違えたのだろう? とりあえず戻る。 下りの尾根道というのは危険である。 一本間違えると、とんでもない所に行き着く。 僕の父は、山岳救助で警視総監賞貰ったことがあるのだが、それは、道間違いによる谷への滑落で怪我した人を救った時に貰ったものだ。 沢登りしていたら、谷に落ちて血だらけの人が居たそうです。(怖) そんなわけで、道間違いをなめてはいけないのです。 数分戻ると、見覚えのある場所に出た。 こっちだ。 再び磁石を取り出して方向を確認して下る。 やがて、足が痛くなり出していることに気付く。 運動不足な上に、速く下りすぎたつけがまわってきたのだろう。 痛い足を引きずりながら、尾根を下る。 午後のタワ尾根は、行きと違って光が差し込まない暗い尾根となっていた。 光が差し込まない尾根は、全く違う印象を受ける。 途中、ポテトチップの袋が落ちている。 普通の登山道で、こういうものが落ちていたら、きっとマナーの悪い奴だと腹を立てたことだろうが、こうした道なき道を歩いていると、人工物というのは、意外にもホッと出来るものである。 というわけで、そのまま残しておく。 だって、この道で合っているということが分るじゃない?? 巨樹まで辿り着く。 少し休憩。 しかし、光の差し込まない誰もいない森は、どこかよそよそしく不気味な森に変貌していた。 心の中の何かと反応しているのだろう。 相変わらず木の実の落ちるカツンという音だけが聞こえてくる。 でも、今はなんとなくゾッとする。 ここは長居してはいけない場所だという気がする。 それを肌で実感するのだ。 とりあえず先を急ごう。 一石山ではない方向、たぶんネットの情報だと岩がある方向を目指して踏み跡を辿る。 こっちか? もう、歩くのも辛いほど足が痛い。 引きずるようにしてなんとか足を運ぶ。 一歩一歩なんとかかんとか道を下る。 一人で地図に無い道を歩く時、体力不足や怪我は命取りになる。 道は、やがて杉林の中にジグザグにつけられた作業道になる。 しっかりしている。 どこに出るのかがよくわからないだけで、どこかに出るはずなことだけは分る。 途中、白い蛇が現れる。 うわあ、びっくりした! このひんやりと冷気を含んだ暗い杉林の中で蛇に合うと、心の底からオドロク。 でも、白い蛇ってものすごく縁起が良い動物だったような気もする。神のお使いとか。 まあ、いいや。それよりとにかく足が痛い。笑 すると、ずいぶん先に歩行者が居ることに気付く。鈴替わりに付けた金属のコップが音を立てている。 なんか、人が居るとホッとするものである。 やっと元来た道の合流点に辿り着く。 あとは知った道だ。 しかし、増々足は痛くなる。 ざれた急坂をなんとか半歩ずつ、いや、靴一足分ずつ前に出して下る。 なんとか下に辿り着いた後、やはり筋力トレーニングの必要性を痛感する。 日原到着は4時。 帰りのバスを待つ 今度は、4間小屋尾根を登ってみようか。 人の居ない道の無い森に入ると、何かが研ぎ澄まされる。 人間の何か根本的なものと向き合うことになる。 それは、ある種とても怖いことでもあるし、同時に喜びでもある。 生き抜くための何かが、そこで発芽していくのだ。 自殺する人の多くは森に向かうというが、僕はサバイバルする為(生きるため)に森に向かう。 本当は、青木ヶ原の森に入るような人達も、生きるために森に向かったのではないかと思う。 そこで生きるための何かが発芽するのを期待しながら。。 人間が狩猟採集の暮らし、森や海や川の暮らしから離れて、そんなに月日は経っていない。 我々は、ちょっと前までは、森や山や川や海に入り、必死に獲物を探しまわって生きてきたはずである。 そうしなければ生きて行く事は不可能だったからだ。 その仕組みは、都会暮らしになっても人間という動物の中に息づいているはずだ。 それが壊れてしまった時、僕等は生命力というものを失う。 現在、中学生の30%は鬱病だという報告がある。 僕等は、それほど自然の生活と離れてしまったのかもしれない。 僕等が生きること、生き抜くためには、森や山や川や海が必要だ。 それは太古の昔から全く変わっていない。 そしてこれからもずっと。 そう感じた山行でした。 なお、こういう登山は軽い気持ちでやると遭難して死にますので、やりたい人は準備怠り無くお願いします。(僕も準備不足でしたが。。)
by ccplus
| 2008-08-28 14:27
| 山
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