リタリンという抗鬱剤が、麻薬と同じような依存性があるとして、日本での使用が制限されるというニュースが流れている。
だが、抗鬱剤の問題は、実は、このリタリンという薬は、氷山の一角に過ぎなくて、もっと大きな問題を抱えているらしい。
最近変な事件が多い。
子供を滅多刺しにした事件、子供を屋上から投げ捨てた事件、斧で自分の親を切断してしまった事件などなど。。
これらの事件とSSRI型抗鬱剤が関連しているのではないか?ということが巷で囁かれているらしい。
アメリカでのSSRI型抗鬱剤の副作用によるとみられる自殺や殺人事件などの報告と、最近置きている一連の事件、確かによく似ている。
マイケルムーア監督の『ボウリングフォーコロンバイン』で有名な学校での銃乱射事件や飛行機の逆噴射事件なども、抗鬱剤との関係が指摘されているらしい。
こちらの11月23日付けの記事
http://straydog.way-nifty.com/yamaokashunsuke/cat5120697/index.html
SSRI型抗鬱剤の副作用についてはAD BUSTERSのホームページが詳しい。
http://adbusters.cool.ne.jp/prozac.htm
鬱というものがどのような機能障害から引き起こるのかは、まだよく分っていないらしいが、「モノアミン仮説」によると、鬱状態とは、脳内の神経伝達物質ノルアドレナリンとセロトニンが正常な状態よりも少ししか流れていない、という異常から引き起こされるとされる。
そしてその仮説によれば、抗鬱剤のほとんどは覚醒剤と同じように、ノルアドレナリンとセロトニンの再吸収する穴を塞いで阻害し、それらをより多く流れさせる働きを持つとされる。
以上、『人格改造マニュアル』鶴見済著より抜粋
ここで、簡単に脳内における神経伝達物質の役割をごくごく簡単に説明しておく。
神経伝達物質は主に4種類あり、それは、ドーパミン、アドレナリン、ノルアドレナリン、セロトニンだ。
このうち、ドーパミン、アドレナリン、ノルアドレナリンの3つの物質が、覚醒系、つまり主に自動車でいう『アクセルの役割』を担っていると考えると分り易い。
一方で、セロトニンは抑制系『ブレーキの役割』を担っていると考えられる。
ごくごく簡単に言うと、神経系の病気のほとんどは、この4つの物質のバランスが無茶苦茶になることによって生じていると考えられている。
人間は、やる気や多幸感や妄想や空想や様々なことをアクセルの側から受けているが、セロトニンのブレーキによってそれらは押さえられている。
だから、人間の多くが「てめえぶっ殺してやる」と思ったりしたとしても、ほとんどの人がぶっ殺したりしないのは、このセロトニンのブレーキが効いているからだ。
生まれつきセロトニンが少ない人とか、外的要因(ストレスその他)によってセロトニンが少なくなってしまう場合がある、こういう状態でアクセル系の物質ドーパミン、アドレナリン、ノルアドレナリンが過剰に分泌されると危険な状態になる。
いわゆる『キレル状態』というのは、こういうことを指す。
それは言い換えれば、ブレーキの壊れた車がアクセル全開になってしまったということなのである。
戦時中に日本軍が特攻をやったのも、もちろん覚醒剤(ヒロポン)のせいだし、アルカイダの自爆テロなんかも当然そういった薬物の使用が予想されるわけだ。
さて、今回問題になっているSSRI型抗鬱剤なのだが。。
SSRI型抗鬱剤は、簡単に言えば、セロトニンの再吸収する穴を塞ぐことによって、一時的にセロトニンを脳内に多く流すことによってブレーキの役割を取り戻し、安定して落ち着いた状態を取り戻す仕組みになっているようだ。
実際にSSRI型抗鬱剤『*プロザック』を試した鶴見済によると、『プロザック』はオドロクほど効く魔法のクスリだそうだ。
それほど効くクスリだからこそプロザックはアメリカでもの凄い売る上げを記録したのである。(全世界で2000万人の使用者が居るらしい)
*注 プロザックは、現在日本では認可されていないが、ほぼ同様の薬が数種類発売されている。
そのSSRI型抗鬱剤の何が問題なのだろうか?
その秘密を解くために、ちょっと覚醒剤について勉強してみよう。
やる気が出なかったり行動的になれなかったりするのは、脳内にドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリンといった覚醒系の神経伝達物質が不足しているからだ。
覚醒剤にはメタンフェタミン(ヒロポン)とアンフェタミンアンフェタミン(フェニルアミノプロパン)の2種類があるが、どちらもそれらの伝達物質に構造が似ているので、特にドーパミンのシナプス前部での再取り込みをする穴(トランスポーター)を塞いで、再取り込みを邪魔してしまう。
通常、神経細胞の末端(シナプス前部)から放出されたドーパミンの3分の2ほどは、必ずもとのシナプス前部に吸収され、次の神経細胞(シナプス後部)へと伝わらない仕組みになっているが、このもとに戻る分まで次の神経細胞(シナプス後部)へと流してしまうため、大量のドーパミンが伝わることになる。
こうして脳内は覚醒物質で溢れ、無気力だった人も
突然バリバリと行動を始める。
これが一瞬のうちに人が変わる仕組みだ。
また覚醒剤は脳内で快感をつかさどる神経であるA10細胞にも働きかけるため、強い快感をも与えることになる。
以上、『人格改造マニュアル』鶴見済著より抜粋
SSRI型抗鬱剤は、基本的に覚醒剤と同じ仕組みを持つ。
その違いは、覚醒剤がアクセル系の物質に作用するのに対し、SSRI型抗鬱剤がブレーキ系の物質セロトニンに対して作用するということの違いである。
覚醒剤の何が危険なのか?が分れば、当然のことながらSSRI型抗鬱剤の危険性も見えてくることになるだろう。
そして、現在、ようやくリタリンは処方が制限されたが、SSRI型抗鬱剤の規制は、ほぼ全く手つかずの状態である。それどころか、鬱病を治療する魔法の薬として、大量の投薬が実施されているのが現状である。
リタリンとSSRI型抗鬱剤の違いというのは、メタンフェタミン(ヒロポン)とアンフェタミンアンフェタミン(フェニルアミノプロパン)(共に覚せい剤取締法で覚せい剤に指定)の違いくらいにしか違わないのである。
つづく