ダウンジャケットが売れているらしい。
どこどこのセレクトショップでは、予約だけで完売だったとか、様々な話を聞く。
普通、ダウンジャケットが売れていると聞けば、お店はダウンジャケットを仕入れようと考えるだろう。
でも、当店では、そうは考えない。
なぜ、当店がダウンジャケットを仕入れないのか?
それは、仕入れるに値すると思うダウンジャケットを見たことが無いからである。
仕入れるに値するものが無い時、それは仕入れないという事である。
これ以上明確な理由は他には無い。
では、なぜ、僕が仕入れるに値すると思えるダウンジャケットが存在しないのか?という事について考えてみたい。
皆さんは、ダウンジャケットがどのように作られているか?知っているだろうか??
多分知らないのではないかと思う。
ダウンジャケットに使われているのは、水鳥の羽根(羽毛)である。
これをどうやって採集するのか??
そう、鋭い方ならお気づきのように、殺して羽根をむしり取るわけです。(ごく特別な場合は、ハンドピックといって、殺さずに羽毛を採集する場合があるらしい=むろん、一般的に売っているダウンにそんな面倒な方法が使われているはずも無いだろうけれども。。)
では、この水鳥というのは何かというと大体グース(がちょう)かダック(あひる)だ。
もちろん、ただ羽根をむしり取るために殺す訳ではないだろうと思う。
当然、食べているんだろう。
でも、でもですよ。
皆さん、がちょうやアヒルの肉、どれくらい食べてますか??
ちなみに、僕は合鴨の肉が大好きなんですけれども、年に1回かせいぜい2回くらいですかね??
なんかおかしくないですか?
これだけ流行して皆着ているダウンの総量に全く合わない気がするわけですよ。
僕はダウンそのものに反対しているわけでは無いのです。
実際、羽毛布団使ってますし、合鴨の肉も大好きですし。
でも、羽毛布団は、流行だから買うわけじゃないですよね??
ずっと使いますよね。
では、流行だからダウンを着る、ダウンを作る=売るなんて事をすると、どういう事になるんでしょうか?
食用の需要を遥かに上回る水鳥が経済的に犠牲になっていくだけな気はしませんか??
では、ここでレザーとダウンの比較をしましょう。
レザーっていうのも、元々動物の皮です。
これも、牛とか羊とかを食料にした際に出る皮で作るものです。
レザーは大変高価ですよね。
普通、流行っているからレザー買う人なんて殆ど居ません。
そして、羊や牛を食べている総量からすると、レザーの総量というのは納得出来る量だと思うんです。
つまり、食料が先にあって、その際に生じる皮を上手く利用してレザージャケットがあるわけです。
これは、経済としてまともであると思います。
そして、そのレザージャケットが生きていたという事を、着る人とか見る人は、なんとなく理解していると思うんです。
その証拠に、レザージャケット大事にしない人居ないでしょう??
作る人も、やはりそれは感じていて真剣に作ることが多いと思うんですよ。
結果として、仕入れるに値するレザージャケットっていうのは、世の中に存在しているという風に思っているわけですし、実際に仕入れる事はあるわけです。。

写真はリックオーウェンスの究極のレザーコート
だけど、ダウンジャケットの場合はそうじゃないと思うんです。
ダウンジャケットが生き物であったという事実は、隠蔽されているんです。
ほとんど誰も気にしていないのではないか?
それというのも、ダウンジャケットが、羽毛をナイロンやポリエステルの中に押し込んで初めて存在するからです。
つまり、私達が目にしているのは、ポリエステルやナイロンという化学繊維であって、生命感の無いものなんです。
なので、それを生命として扱っていないが故に、羽毛が生き物=水鳥であるという認識が欠落し、流行で安直に消費されていくという事が起きているのではないかと思うんです。
ですから、私はバイヤーとして、水鳥の生命の尊厳を感じるような素晴らしいダウンジャケットが作られない限り、ダウンジャケットを仕入れることは無いと思います。
それが、当店の基準です。
そして、そういうダウンジャケットに今まで出逢ったことがほとんど無いわけです。
故に、当店でダウンジャケットを売っていない。
こういう事になります。
もちろん、北極圏行く人とか、高山に行く人は、必要なんだから、どうぞ着てください。そういう事を否定するつもりは全くありません。
でも、『流行っているから、とりあえずダウンジャケット』っていう流れに対しては、非常な危機感を憶えるんです。
それは、生命として絶対にやってはいけない行為のような気がします。
冬になると「ダウンないですか?」と、良くお客さんに聞かれるのですが、そういうわけで、当店では、よほど優れた生命の尊厳を感じるダウンジャケットを見つけない限り、仕入れる事はありません。
ですが、ウールとレザーとコットンの素晴らしいコートは多数扱っています。
そちらを是非ご利用ください。
text by
contemporary creation+
http://www1.parkcity.ne.jp/ccplus/
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