以前の日記の中で、ガンバの弱点が、左サイドバックの裏へのロングボールだ。と書いたところ、
読者の方から
『やはり、ガンバは4−4−2でパスサッカーをやっている限り、この弱点は永遠に克服されない気がする。』とのご指摘がありました。
4‐4‐2のパスサッカーというと、以前のアーセナルを思い出しますがその時はそんな問題は感じられませんでした。
ガンバとアーセナルの違いはサイドMFの性格の違いが原因でしょうか?
という質問があったので、ガンバについてちょっと考えてみようと思います。
ガンバのパスサッカーとアーセナルのパスサッカーはパスサッカーの質が全く違います。ガンバは正しいインサイドキックを使ったトライアングルによるオランダ=バルセロナ方式で、アーセナルは、人が動いてキープして空いたスペースを突く、個人能力+組織のサッカーです。
現在の日本代表もアーセナル方式のパスサッカーだと思います。
ACLガンバ大阪 対 水原三星戦に見る、日本代表の闘いのヒントも参考に
インサイドキックとトライアングルについては以下のエントリーを参考にしてください。
カメルーンに勝つための日本代表改造計画3 正しいインサイドキック
カメルーンに勝つための日本代表改造計画4 バルセロナのパス回しの本質を掴め
アーセナルの場合は組織的ですが、正しいインサイドキックによるトライアングルではないので、局面の連動性は重視してますが、全員が個人の能力によって打開していきます。
だから、フォーメーションというものにとらわれないのです。
打開する時には、自然にフォーメーションが崩れているからです。
そこが、利点であり、欠点であるわけです。
守備の際には、フォーメーションが崩れているので、組織に穴が空いていることが多い。
だから、マンチェスターユナイテッドのように、4バックと中盤の3人の間を圧縮し、引いて守ると、攻撃が跳ね返され、攻撃しているうちに空いた穴を突かれてボロボロにやられるということがある。
アーセナルというチームは、4-4-2システムによるパスサッカーの頂点にあるチームです。にも関わらず、タイトルがあれだけ少ないのは、同時に4−4−2システムによるパスサッカーの限界点ということも考えられるわけです。
一方、ガンバ大阪がやっているのは、オランダ=バルセロナ型の正しいインサイドキックによるトライアングルのパスサッカーです。
この特徴は、『正しいパスコースに必ず人が居るようにする』ということです。
このサッカーでは、正しい技術を使って正しい位置に居れば、必ずパスが回るのです。
だから、パスを回すこと自体に関しては、それほどの個人能力は関係ないのです。
重要なのは、基礎技術と戦術理解度です。
そして、フォーメーションが関係してくるのです。
正しいインサイドキックによるトライアングルのパスサッカーでは、フォーメーションから数メートルの移動でパスが回るからです。
4-4-2のフラットやボックスだと、正しいパスコースを作っても相手を打開出来るパスコースを多く作れないのです。
特にフラット型の4-4-2だと上下が圧縮されたカタチ(深度がない)なので、効果的にパスで最終局面を崩すのが難しい。(反面、ロングボールを使った縦に速い攻撃は有効ですし、中盤でプレスをかけやすいのがフラットの4-4-2の特徴です。)
ガンバは中盤に段差をつけてますが、そうしないとパス自体が回らない。
でも、やはりパスコース自体が効果的でない=横パスのコースが多いことに気付くと思います。
ガンバには安田や家長といったアクセントをつけられるサイドアタッカーのドリブラーが居て、彼らをサイドで使うことは、トライアングルのパスサッカーにおいてとても有効な方法(メッシ選手を見てください!)ですが、西野監督は彼らを重用しなかった。
で、家長選手は移籍、安田選手は守備が強くないのにサイドバック。
結局2トップの個人能力に頼った得点方法になる。
アクセントをつけるのは、安田の攻撃参加に頼る。
でも、守備が心配で機能し辛い→安田ベンチ
こういう流れになっていると思います。
だから、ガンバの場合は、アーセナルのような連動パスを局面に入れて打開しようとしています。
そうしないと機能しないからだと思います。
そして、中盤菱形の4-4-2の場合の方が多く効果的なパスコースが出来るので、試合途中によくこのカタチにチェンジしているのを見かけますが、この場合、中盤の底の人の負担がものすごく大きい。
ましてガンバ大阪は両サイドバックが攻撃的なのでなおさらです。
遠藤は、能力が高いので、体調が良い時ならいけるのですが、今のように疲れていると、かなり難しいと思います。
遠藤の疲れから、全てが機能しなくなっている。
遠藤は、僕が見た感じでは、名波浩タイプだと思うのです。
情報処理がものすごく多く、ものごとを並列処理している。
情報を並列に処理するというのは、A=B,B=CゆえにA=Cという論理的な考え方ではなく、複数のものごとを高速でイメージとして把握し、一気にA=Cという答えに持っていけるやり方のことです。
状況を見ているうちに、一瞬に答えが分るのです。それは、もうA=Cとしか言いようがないんです。
ま、これは『馬鹿と天才は紙一重』という部分なので、勘違いすると大変なことになりますが。。
脳は、コンピューター(ノイマン型)のような直列型の処理ではなく、並列分散処理をしているらしい。
そして、脳というのは、基本的にデジタルな2進法ではなく、アナログなので、大まかな把握が出来るわけです。
言い換えれば、A=Cへの飛躍というのは、情報処理を極度に集中して行う=正のフィードバックを用いて答えを発見し、負のフィードバックを用いて精度を高くする。という作業を一瞬のうちに行うわけです。
実は僕もそういうことの出来るタイプだから分るのです。
サッカーの試合とかを見ていると、一瞬のうちにある答えが出てきてしまって、気持ち悪いんです。
それを後で論理的にまとめると、ものすごく時間かかったりする。
でも、答えは一瞬にして分る。
これは、ものごとを同時に複数の回路を使って処理しているからだと思います。
『カオスの寸前の秩序』っていうやつです。
でも、それ故に、疲れてくると頭がカオス化して、思考が停止してしまいます。正しい選択が出来なくなる場合があります。
頭と身体が重くなってしまうのです。
こうなると、A=B,B=CゆえにA=Cという単純な論理でさえミスするような、イケてない人になってしまいます。
だから、彼らは、うまく休ませる。過酷な条件で仕事させない。
これにつきます。
特に、ガンバのやっている正しいインサイドキックによる正しいトライアングルによるパス回しというのは、A=B,B=CゆえにA=Cという論理的なものなので、状況を打開出来る答えが一瞬で見つからないと、いつまでも同じところをぐるぐる回っていることになりかねません。
遠藤が疲れてくる=パフォーマンスが落ちてくると、ガンバが極端に弱くなるのはこのためでしょう。
ちなみに、日本代表で遠藤の代わりが出来るのは、小野でしょう。
というか、小野の方が論理性が強いのでミスは少ないと思います。
セルビア戦はぜひ小野伸二を使ってほしいと思います。
これ以上遠藤を酷使しないようにしてください。
そして、中盤菱形の4-4-2より、もっと効果的なパスコースを描けるフォーメーションが4-3-3や3-4-3(中盤菱形)なのです。
アヤックスやバルセロナがこの布陣なのは、このフォーメーションじゃないと機能し辛いことを分っているからだと思います。
サッカーの目指す基礎技術+システムは、フォーメーションと共に在るということなんです。
正しいインサイドキックを使ったトライアングルによるサッカーは、4-3-3か3-4-3と共にあるのです。
4−3−3や3−4−3(中盤菱形)のトライアングルは、パスコースが多いだけでなく、斜めのパスコース&縦のパスコースが多い=横のパス方向が少ないという特徴があります。
これは、パスカットされやすく危険な横パスを廃止し、相手が対処し辛い斜めのパスで状況を打開しながら、縦のパスを送ることが出来る=決定的なチャンスを作ることが出来る。
ということなんだと思います。
ガンバには、有力なサイドアタッカーが大勢います。
平井、ペドロ・ジュニオール、宇佐美、安田
センターフォワードタイプにはチョ・ジェジンとルーカス
これだけ居ればローテーション組みながら、3トップが出来ます。
そして4-3-3にすれば、中盤は3人になるわけですから、遠藤、二川、明神、橋本の主力4人のMFをローテーションで使うことが出来るわけです。
ガンバ大阪は完全に機能するはずです。
なぜそうしないのか?全くもって僕にはよく分かりませんが。。
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