ファッション再生計画01 人類は衣服と共に誕生した
ファッション再生計画02 『変身願望』からスタートするのつづきです。
最近、釣りを再開した。
僕がやっている釣りは、渓流釣りと磯釣りなのだが、釣りをする時、自分は、気配を消している。
自分を背景の中に完全に没入させるようにしている。
これは、グレングールドが、ピアノと一体化しようとしているのと、極めてよく似ている。
自分のリズムや呼吸、その他の波動みたいなものを背景と一致させる。
自分が身にまとっているものは、その背景になるための道具なのだ。
ここでは、服は自分の一部でありながら背景そのもである。
そして、背景と同一化しながら、狩猟対象と1対1のコンタクトを行うのだ。
それは、全神経が狩猟という行為に行き渡っている瞬間である。
その状況になると、ものすごく些細な事に気付くようになっている。
風の変化、天候の変化、流れの変化、本当にささやかな違いが手にとるように分ってくるようになる。
そして、そういう状況で手にした獲物に対する畏敬の念といったものが自然に芽生えてくるのだ。
その状況にする為に服がある。
これは、原始宗教の始まり、根源の部分なのではないかと思っている。
背景との同一化が進み、獲物と1対1のコンタクトが進むと、そこに原始宗教が生まれる。
旧石器時代のスクレイパーの起原というのは様々言われているが、当ブログが考えているのは、スクレイパーというのは、主に獲物の肉を削り取り、革をなめす為に使われたのだと思う。
それによって人間は、毛皮をまとって猟をした。
主な狩猟対象は、水牛の群れやヘラジカの群れなどだ。
やがて、水牛や羊など群れを持つ獲物と人間とのの同一化が進んでくると、その一部は家畜になった。
山羊や羊や牛という動物の群れの中に我々が入り込んでしまったのである。
そこでは、私達は、動物を狩猟対象ではなく共に生きていく対象ににしていった。
そして、動物も私達が被狩猟対象ではなく、自分達を保護し、導いてくれる対象にするようになっていった。
ここに、家畜農業と原始キリスト教の誕生があったのではないかと感じている。
キリスト教の誕生になぜ羊が関わっているのか?
それは、私達の祖先が羊の群れと同一化した事に端を発しているのだと思う。
ウールを使った毛織物製品の誕生は、まさにこの事から始まっているのである。
私達がなぜ頭部や顎や脇や陰部に主に体毛が濃く、その他の部分が薄い(特に背面)のか?
それは、私達が、獲物の毛皮をまとった時、必然的に外に出る部分が濃くなったのだろう(というか、そうじゃない部分が薄くなったのだろう)ということ。
そして、おそらく体毛の色の違いによって、集中的に狩っていた獲物の種類が違ったであろう事が推測される。
私達東アジア系やラテン系の人種の体毛が黒いのは、主要な狩猟対象が水牛の仲間だったからなのではないか?
そして、その一部は、私達と共に生きることになった。
インドにおいて牛を神のように大切にするのは、牛が、いつの頃からか、狩猟対象ではなく家畜になったからだろう。
狩猟対象から家畜になる時点で、牛の神格化が行われたのではないか?
そうでなければ、獲物として狩猟してしまうからだ。
なので、仏教における殺生の禁止というのは、この辺りから始まっているのではないかと思う。
そして、栗毛や茶色の毛を持つ白人達は、鹿、馬、羊の系統を狩っていたのではないかという仮説が成り立つ。
そして、やはりその一部が家畜になっていった。
黒人の肌がなぜ黒いのか?
それは、彼らが、毛皮を脱ぎ捨て、泥を身にまとうようになってから時間が経ったためではないだろうか?
そして、葉っぱを身にまとう人も現れた。
川や湖や海で狩猟するようになった人達は、そもそも狩猟の時に毛皮が必要ではなかった。
そして、それらの選択をしていったもの達は、獲物との同一化が進まなかった。
つまり、家畜を持たなかったのだ。
たとえば鮭を狩猟していたグループを考えてみよう。
鮭を狩猟する事は極めて簡単である。
ある一定の時期、川に遡ってきた鮭を捕まえれば済むのである。
ここでは、家畜という概念は誕生しない。
むしろ、次の年も豊穣な恵みを得るために、自然を破壊しないように、自然への感謝という原始宗教のようなものが続いていったと考えられるからである。
そして、その事は、後の社会を作っていく段階において、極めて大きな意味を持っていたのではないかと考えられる。
そう考えると、人類の歴史のアプローチは、大きく変わって見えてくるはずだ。
つづく
text by
contemporary creation+
http://www1.parkcity.ne.jp/ccplus/
ファッション再生計画 序章
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ファッション再生計画02 『変身願望』からスタートする
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